◆会期
2020年10月10日(土)〜11月22日(日)
10:00〜18:00(入場は17:30まで)
休館日・火曜日(11月3日開館、11月4日休館)
◆会場
渋川市美術館・桑原巨守彫刻美術館
〒377-0008群馬県渋川市渋川(新町)1901-24
Tel.0279-25-3215 Fax 0279-23-1907
◆観覧料/300円(中学生以下、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方は無料)
<作家コメント>
稲を貼る理由(わけ)、『HIGASHI-TA』のこと
私の作品には2000年頃から稲穂や稲藁、籾が頻繁に画面に登場している。『HIGASHI-TA』というシリーズの作品群である。HIGASHI-TAとは東田(ひがしだ)のことで、私の住む渋川市郊外にある利根川の河床地を開田した田園地区をさす。かつて、私の生家がここで米作りを営んでいたが、98年秋、諸般の事情で終止符を打つこととなった。この≪出来事≫を記憶に留めたいと考え、刈田に落ちていた稲穂や稲藁を形見として画布に封じ込めた。その作品群は、泥田や水田を想起させる<形見、感傷、記録>の志向が強かった。私が稲を用いるのはこのことが最初にあり、同時に絵画の<表面>を強く意識してのことである。稲穂や稲藁、籾を支持体上に置くことで、背後をより強調させ、絵画に<表面>という<膜>が在ることを観る側に意識させたいというねらいがそこにある。また、作品の試作を重ねるうち稲穂や稲藁といった素材の持つ温もり、心地よさが少年時代の体験と相まってモチベーションを高めていったように思う。ある人に『それは稲へのオマージュですね。』と言われたが、なるほど言われてみればそうかもしれない。私は日頃、絵画のためのキャンバス(画布)は作家の眼、作家の意思が映し出された鏡であると考えている。『HIGASHI-TA』のシリーズを私は当分の間続けるつもりでいる。